Absolute Pitch @shima

短歌のおはなし。

もしかしたら暫定サイト?
んー。どうだろう

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マラソンリーディング&歌葉新人賞
東京で短歌がらみのイベント2つ立ち合ってきました。
マラソンリーディング、そして歌葉新人賞。
宿を提供してくれた友人に感謝。

マラソンリーディングのことはまたあとで書くとして
第3回歌葉新人賞。
歌葉新人賞のタイトルは
しんくわさんの「卓球短歌カットマン」に決定しました。
歌集出版が楽しみです。

*

はじめて公開選考会というものに参加したのだけれど
なんというか…
会場の誰よりも選考委員が「当事者」なのだということを
あらためて目の当たりにして
なんというか、なんというか…。

並の精神力と鑑識眼では、あっち側、つまり選ぶ側にはなかなか座れない、
ということを再認識したのでした。
いやー、選考委員の人たちの様子を見ていて思わず
惚れてしまいそうになったね。
あぶない、あぶない。

*

五十嵐きよみさんがご自身のサイトのコメント2489で、今回の選考会の感想を書いておられます。気合いを入れたい人は、読んでください。

*

と言っても、わたし自身は、他人に負けた悔しさが
作品の原動力になるとは
あまり信じていないのですが、
自分に負けた悔しさ、って言葉に置き換えると
ほぼ納得できますね。

詳細については微妙だし説明しにくいので以下略しますが
んー、ひとことでいうと
殺意は表明せずともよい。
(こわ)

*

会場だった千駄ケ谷の津田塾ホールの通りを新宿方面へ
4、5分歩くと五万石東京店(本店は富山)がありますが
うわさでは文芸春秋さんがよく使っているとか。
富山の本店より、東京店の方が、おいしいそうです。
高いので社用でしか使えないと思いますが
お金のある会社に勤めている人は、ぜひいちど、社用で使ってみてください。

そんなところで
がっくし疲れたので、寝る。
| absolutepitch | 短歌日記 | 00:28 | comments(0) | trackbacks(0) |
リズムを捨てて(ないヨ)
知っている人たちが
基本的に(視覚的にも)4拍子な短歌のリズムを捨てて
なぜ、なおかつ31音の短歌を選ぶのか?
とか
覚えにくいのは弱点では?
とか
言ってくれるのが楽しくて、わくわく。
どう説明しようかなあ、などと考えているんですが

*

モーツァルトが作曲した
キラキラ星変奏曲というのがありまして
もともと歌われていたオリジナルのキラキラ星が
第1変奏から第12変奏までなされているんですが
たとえば、自分にとって第12変奏が
もっともテーマをよく表現できると思ったら
オリジナル曲をいきなり第12変奏にしちまう、
という感覚に近いでしょうか。

そのとき、もともとあった4拍子というのは
必ずしも捨ててるわけじゃなくって
視覚の外に隠れているだけなんだけど…。
なぜ隠れるかといえば
それは探してもらいたいから。

*

覚えやすいのはオリジナルの
ド・ド・ソ・ソ・ラ・ラ・ソ♪
みたいな(視覚的な4拍子を含んだ)短歌ですよね。
「覚えにくいじゃん」
と思われるのも、それを読む人と作品との
対話のひとつの(ある種、魅力的な)形だと
信じている部分もありますね。
さらに「鳴くよウグイス平安京」みたいなノリでの
短歌の覚えやすさみたいなものには、
個人的にあまり魅力を感じないです。

*

形式という部分についていえば
かぎりなく憧れて心惹かれるからこそ
フォーマットだと認識されているものが
果たしてほんとうに短歌のフォーマットなのか
打って、ねじって、溶かして、冷やして、また打って
を、したいという欲望があるのは確かだけど
縦書き一行という表記が
テーマにとって魅力的な場合はそういう書き方をしてるし、
なんていったらいいんだろう…。
タイポグラフィになっていく場合は
自分にとって、その短歌が
いちばん魅力的にみえるように
視覚的に配置したいと願っているというか。

*

個人的には
フォーマットを崩したことを云々するステージから
これは第12変奏じゃなく、第8変奏だろう
あるいは
第7変奏にするなら、ここの音はA音じゃなくてF音だろう
みたいなステージへ早く進みたいのですが。
そこまで討議できて
はじめて、短歌とタイポグラフィが相容れるものかどうかが
分るような気がする。



準備がまだなら
待ってます。
| absolutepitch | 短歌日記 | 12:24 | - | - |
テロー、 ジェノサイド、 時代のリフレイン
北オセチア共和国の小学校占拠・人質虐殺事件の後
石井辰彦さんの質問をひとつの発端として、大辻隆弘さんの掲示板
活発な論議が交わされている。


ヒロシマ・ナガサキあるいは沖縄よりも
3年前のニューヨークの方が
コスモポリタンな現代歌人たちにとっては
全然身近なのだという
当然のことを再確認し
一方で、いまだに綿綿と
60年前の死者たちへの挽歌を詠みつづける歌人たちの
存在感も、はっきりと浮かびあがってくる。


わたしは
3年前の9月11日の深夜に見たニューヨークのあの映像を
あるいは、先日の9月5日の北オセチアの小学校の映像を
10年後には、もう歌うことはないだろう。
映像がもたらしたこの痛みの賞味期限は
私にはせいぜい5年だ。
不謹慎を承知でいえば。


風化していくことが宿命づけられた時事詠に
改めてメスを入れ
新しい読みの機会をつくった石井辰彦さんは
社会詠の優れた保護者だ。
そして大辻隆弘さんのあの一首も
さまざまな光が当てられ
リフレインされることに耐えうる一首なのだろう。
| absolutepitch | 短歌日記 | 11:08 | comments(0) | trackbacks(1) |
第3回歌葉新人賞候補作 その1
この人の10首

参加者のひとりとして、わたしの選ぶこの人の10首
作者名アイウエオ順にあげてみたいと思います。
作者ご本人の思いや選考委員のお考えとは
離れているかもと思いつつ、
そこはご容赦いただきまして、こののちも
なぜ、これら10首に惹かれたのか、
コメント欄などで、ゆっくり考えていきたいと思います。


*「インフェル野」 我妻俊樹 -全作品はこちら-

にせものの貴方が(きれい)ずぶ濡れで足りないねじはバイクから摘む

ゆびぶえの鳴らないひとが玄関のベルで合図を送る火星に

ぼくが足を滑らせる穴ことごとく火星に通じているのも妙だ

逃れないあなたになったおめでとう朝までつづく廊下おめでとう

夕焼けのたけやぶやけた焼跡のあんなところに四階がある

滅んでもいい動物に丸つけて投函すれば地震 今夜も

あいさつが花粉をとばす すれちがう人のシャツから伸びる巻きひげ

蜃気楼だったといえば嘘になる半ば草原化した文化祭

指に蛾をとまらせておく気のふれたガール・フレンドに似合う紫

生き地獄めぐりは続く花束をバスの窓から投げるぼくらも




*「天頂から降り注ぐ」 魚柳志野 -全作品はこちら-


今日は今日明日は明日 お天気を知りたい人が軒下に出る

銀色の螺子 少しずつずれてゆくメトロノームの振り子の軌跡

点描で描き忘れた星星の運行表を左手に持ち

(ベガ)やがて(スピカ)なくなるこの星の黄道星座をすべておぼえて

町中に引力がある真昼間の見えない月を引きずり出して

透けそうな氷砂糖の一片を口にふくめば広がる荒野

この辺が生きてるんです母犬の強く張り出す乳房の湿度

降っているかもしれないし降ってないかもしれないよ うたたねの雨

忘れてもまたどこからかこぼれ出す細かな砂を吐きだすように

だいじょうぶ君は二月の光だしいつか消えると知っているから



*「vibgyor」 黒崎 恵未 -全作品はこちら-

春うらら文学少女は文学に強姦されて恍惚とする

悪口を言った部屋ではその後に灰色の針が小さく積もる

数学を知っている木々 数学を知らない我がその森をゆく

ひまわりの鎖骨を折って過ごす夏 あの人はいつも遠くから来た

先代の天気主任のレシピから作られている今日の快晴

ビスケット・ソーダ・くちびる・ビスケット 美味しかったし許してあげる

朝焼けの窓に二人は触れていて永続的なやけどをしてる

七色のドミノのように過ぎる日々(たおれたドミノが道になってる)

空気屋が空気切り場で切り出した空気の分だけ落ちてくる空

黒檀のピアノを弾けば水晶になってゆく指、手、手首、腕



*「左手で摘む」 佐原みつる -全作品はこちら-

三拍子とだけ書かれた楽譜にはあとからあとから降ってくる虫

木曜は耳のうしろが痒いからト音記号のようにからまる

スーパーでお釣りを受け取るてのひらに 牡牛座の疑いがあります

フォルテからフォルテシモへと駆け上がる中指熱を帯びたら五月

蛍光灯の明るい白はスイッチを切っても切っても追いかけてくる

裁断機きざまれてゆく詩集からわたしの影がうすくなること

今日という日が雨ならば一年の残りは全部晴れでいいから

夕立に散らずに咲いている薔薇はコンクリートに赤いペンキで

いつわりのない本音だし最終の列車は赤い水湧く場所へ

やさしいひとの降るところまで歩いたらあるいは歌をうたうのだろう




つづきはまた今度。
| absolutepitch | 短歌日記 | 08:58 | - | - |
いつかまたいつか会いたいねってバスタブにスプーン一杯死海の塩を

9月12日(日) リアルタイムスペース

生業の本の編集の方で胃にずしんとこたえるモノが積み重なっていた。
いや、この気持ちの暗さは、おそらくは仕事のことだけでは無く
近日来、繰り返されるテロがらみの残虐な事件
そして、国内での殺人や誘拐事件、北朝鮮での爆発事故などの報道が
少なからず影響しているみたい。

世界はどこへ行くんだろう。

午後から第3回歌葉新人賞の審査がはじまるのは分かっていても
何もしたくない感が強くて、ほとんど一日、横になり目を閉じて過ごす。

夜10時過ぎ、自作「すべての海はバスタブにつながる」30首が
審査されはじめ、ようよう起き出し、リアルタイムスペースに接続し、少しだけ明るい気持ちになる。
3人の審査員がお疲れの様子は掲示板からも伺えた。
私が今回作品を提出するにあたって
最も意識した態度について、たぶんそういう意識を理解した上で
審査員3人が3様の見解を出してくださって、
そのことに非常に満足した。

今の段階でこれ以上自作についてコメントする勇気は無いし、
あまりに無粋だろうと思うのでこれくらいに。




9月13日(月) 苦いセリフ


出版記念会の2次会は、写真家のMさんと上司と3人で
いつもの店だった。
表現者が自分(の作品)を輝かせるために執着することごとは
写真も、短歌も、それほど遠くない。
だから分かっているつもりなんだけど、と
伝えるための言葉をさぐっているうちに
時間ばかりが過ぎていった。

お店のママが屈託なく
趣味が仕事になって幸せでしょう、とその人に問いかける。
今回とても苦しんでいる姿を見ていた私には
耳にするのが少し苦いセリフだった。
笑い話にしてしまおうかと画策する私の横で
その問いに誠実に答えていこうとする姿が印象的だった。
粘り強く伝えようとする人なのだ。

この人がアンソロジーではなく
自分だけの写真集を出版したときに
私の仕事は完了するのだろうと思った。
これは、その本の版元が当方であるとか
そういうこととは別の次元の話で
今回の出版を踏み台にし
その人がもっともっと輝いてくれたとき、
たぶん私の仕事は完了するのだ。


なぜだか急に前日のリアルタイムスペースで、
加藤治郎さんが「デビュー前」という言葉を使っていた記事が鮮明に甦った。

ネットという発表媒体に
容易にテキストを公開できる怖さのひとつとして
デビュー前、その後について
目に見える違いが
こちらの立ち位置からは
それほど分からない
ということも、あげられるような気がした。

| absolutepitch | 短歌日記 | 10:59 | comments(3) | trackbacks(0) |
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